高齢者医療・介護保険・地域包括ケア

2027年度 大阪市予算に対する要望書>高齢者医療・介護保険・地域包括ケア

10.高齢者医療・介護保険・地域包括ケアについて

(1) 第10期の介護保険料改定では、保険料を引き下げ、段階の細分化、第一段階の乗率の引き下げ、最高段階の乗率は引き上げるように、課長会議等で本庁に要請すること。

(2) 介護の申請や相談については、懇切丁寧に対応すること。

(3) 介護保険料の滞納者・未納者については、無理な取り立てや滞納処分をせず、理解と納得を得た対応を行うこと。

(4) 介護保険料の軽減措置ついて、決定通知書に記載するだけでなく、広報紙に掲載するなど、制度を広く告知し、活用すること。

(5) 介護認定は速やかに30日以内に認定出来るように必要な措置を講ずること。また、「緊急を要する者」については、迅速に認定するよう催促すること。

(6) 訪問型サービス(生活支援)が、幅広く利用できるよう地域包括センターと連携して改善すること。

(7) 虐待・孤立・近隣とのトラブル・サービス拒否等の「支援困難者」の支援については、サービス利用者任せにせず、区役所と地域包括支援センターが、ケアマネジメントを行うこと。

(8) おむつを必要とする要介護者・高齢者のおむつ代を補助すること。
(9) 補聴器購入助助成制度については、ボランティア活動等の条件削除、補助金の引き上げ、区役所での申請受付もできるように改善すること。
(10) 高齢者が外出したり、地域で活動・交流できるよう「老人憩いの家」事業を復活し、財政や人的支援の施策を行うこと。

 

公衆衛生・保健・医療行政

2027年度 大阪市予算に対する要望書>公衆衛生・保健・医療行政

7.公衆衛生・保健・医療行政について

(1)  公衆衛生の見直しについて

① 大阪市に1か所しかない保健所のあり方の見直しを要望します。区ごとの保健所を増設し、公衆衛生分野の予算を増額してください。

② 移転後の保健所はいつから運用を始めますか。また移転後の保健所の特徴や機能、充実したことはなんですか。

③ 移転後の保健所は市民向けの視察や講座など市民に開かれたとりくみを検討・計画されていますか。

④ 今後の感染症対策の抜本的改革として、患者の受入施設や病院・感染症病床の増設など、公衆衛生
上必要な施設の増設・増員をしてください。

⑤ 大阪市の公衆衛生研究所として、環境科学研究所の機能を元に戻してください。当面府立大阪健康安全基盤研究所の機能強化と研究者の増員・研究予算の増額、検査機器の増設を行ってください。

⑥ 公衆衛生医師・保健師・検査技師等の専門職の大幅な増員、公衆衛生分野で働く事務職員を増やすなど公衆衛生分野の強化を行ってください。

⑦ 大阪市感染症予防計画について、検査能力の大幅に引き上げとともにそのための検査機器の増設、人員を増員するなど充実させ、すみやかに実行してください。また、感染症流行時には市民等に対し、速やかに正しい情報を発信するとともに、フェイク情報を監視・取り締まる体制を取ってください。

⑧ 新型コロナウイルス感染症対策の公的な教訓を生かし、新型感染症発生時の検査センター、公的な発熱外来センターの設置計画を求めます。
 国の長年の医療政策により、医療現場は人手が不足しており、特に医師・看護師不足は深刻な状況です。また、都市部の小病院・クリニックは設備上の事情から感染症対策ができない設備的な条件もありました。そうした中で、自院では発熱者対応が難しい医師でも、公的な検査・発熱外来セン
ターが設置された折には、地域医療に少しでも貢献するため出務をこばまない医師など、医療スタッフは少なくありませんでした。急激な感染拡大が起こった際にも迅速に対応できるよう、医療機関任せにするのではなく、大阪市として常設の公的検査センター、発熱外来センターを市内に複数個所設置する計画を検討・策定してください。

⑨ 緊急時に府民の命と暮らしの救済に応えられる公衆衛生分野の職員配置をしてください。この間の新型コロナ対策で人材不足が起こるたびに、外部委託に頼る場当たり的な対応に終始し、医療の基本的知識を理解できていないスタッフの対応で医療現場は混乱を極めました。この事態を打開する
ためには、保健所職員など公衆衛生分野の市職員を増やすことが必要です。危機管理を経験し教訓を蓄積した人材は今後の大阪市の医療・公衆衛生行政の力に必ずなります。保健所職員など公衆衛生分野の正規職員を増やすことを強く求めます。今後の新興感染症の拡大に備えるためにも、大阪市の保健所を増設してください。また、当面は各区の保健福祉センターの体制を強化してください。

⑩ 大阪・関西万博における公衆衛生や医療にかかわる統計を示してください。

a.水道水質検査箇所数、回数、異常値検出回数

b.食品衛生監視について、検査施設数、立ち入り検査回数(内、抜き打ち検査回数)、指導・勧告・指導した施設数と回数

c.害虫駆除に関係して、生息状況調査の内容や回数、万博協会への助言や指導回数と内容

d.医療にかかわって、診療施設や救護施設に従事する医師や看護師等の人数、施設を利用した人数や利用の原因(ケガ、熱中症等)、救急搬送された件数と人数

e.有毒ガスの検査状況と異常値検出回数、検出場所、消防車出動回数

f.その他、公衆衛生・医療にかかわる統計

(2)  医療費助成制度の拡充

① 子ども医療費助成制度の自己負担を撤廃し、完全無料としてください
子ども医療費助成制度は全国の市区町村の65%以上が自己負担無料となっています。大阪市においても完全無料化してください。

② 妊産婦医療費助成制度の創設してください
妊婦の保険診療における自己負担部分の助成制度は、全国では200を超える市区町村で実施されています。日本産婦人科医会が2019年に出した提言では「生育基本法が掲げる妊娠期から切れ目のない支援のために、妊産婦にも社会の暖かい援助があるべき」とし「とりわけ妊娠中から出産において何らかのご病気になられ治療を要する方々には(略)大変心強い助けになります」と指摘しています。大阪市の独自の制度として妊娠の届け出をして以降の妊産婦の医療費助成を創設してください。

③ 「重度障がい者医療制度」を拡充してください
大阪府の福祉医療費助成の再編で障がい者・難病患者の医療費助成制度が「重度者」に限定されました。このことで従来対象者だった中度・軽度の障がい者・難病患者の方は医療費助成制度の対象から外されました。そもそも障がい者・難病患者の世帯は経済的にも厳しく、医療費助成の対象から外されたことでさらに暮らしを追い詰めることになり、影響は非常に大きいものがあります。大阪市として対象から外された方の調査を至急実施し、現在の重度障害者医療制度を拡充させ、中度・軽度の方も助成制度の対象にしてください。

④ 75歳以上の患者負担軽減のために老人医療費助成の再構築してください
22年10月1日より75歳以上高齢者の医療費2割負担が実施されました。大阪府は2021年3月をもって老人医療費助成を廃止しましたが、今回の負担増は多くの高齢者に影響を及ぼし、受診抑制による健康への影響も国会審議で指摘されています。大阪市の高齢者の命と健康を守る上で、高齢者を広く対象にした老人医療費助成制度の再構築を強く求めます。

(3) 帯状疱疹ワクチン接種の助成制度を創設してください

 帯状疱疹は特に50代以上が罹患しやすい疾病であり、加齢や疲労、ストレスによる免疫力の低下で80歳までには3人に1人が発症すると言われています。痛みが徐々に増していき、日常生活や就労が制限されることや、夜も眠れなくなることもあります。また、20%の患者が帯状疱疹後神経痛を併発し、長ければ数年以上疼痛に苦しむことになります。
 頭部や顔面に帯状疱疹が出た場合、視力低下や失明、顔面神経麻痺などの重い後遺症が残る可能性もあります。帯状疱疹を防ぐにはワクチン接種が有効とされていますが、現在帯状疱疹のワクチンは任意接種です。接種から9年後の時点でも有効性があるとされる不活化ワクチンは計2回で数万円と高額であり、接種を断念する人も少なくありません。経済的な理由からワクチン接種を諦め、病気に罹患することは医療者として看過できません。行政として、ワクチン接種で病気を防ぎ、苦しむ市民が生じないような施策を要望します。

(4) 生活保護医療要否意見書に係る返送費を大阪市負担とすること

 医療機関に係る医療要否意見書の返送費、返信用封筒および文書作成費等の事務負担が過剰となっています。行政の求めにより応じているため、返送費等は行政が負担すべきです。医療要否意見書の要旨を医療機関に郵送する際に、返信用封筒を同封してください。また、医療要否意見書の返送費は大阪市の負担とし、記載を要する同意見書に同封する返信用封筒は受取人払いとしてください。

(5) 補聴器購入の助成制度の改善をすること

 全国的に広がりを見せている全ての世代の軽・中等度の難聴者を対象とした補聴器購入助成制度を大阪市でも創設してください。

(6) 生涯を通じた歯科・口腔保健の確立

① 歯科健診・保健指導の体制整備
a. 歯科口腔保健事業に対応する専門の部署を設けてください。

b. 「大阪市歯と口腔の健康づくり推進条例」の理念・目的に従い、歯科口腔保健支援センターを設置してください。

c. すべての保健センターに常勤の歯科医師と歯科衛生士を配置し、市民の健康を守る拠点としての機能を抜本的に充実させてください。

d. 各種歯科検診事業の推進にあたっては、市内すべての歯科医療機関に公平な機会を与えてください。

②乳幼児期・学童期・青年期の確実なう蝕予防対策と口腔保健確立のための環境整備

a. 市の独自施策として、乳幼児歯科健診は4歳児・5歳児・6歳児も対象としてください。

b. 認可外保育施設で歯科健診を実施するよう指導してください。

c. 学校歯科健診で「要受診」と診断されたにもかかわらず、未受診となっている児童・生徒が確実に受診できるような具体的な対策を講じてください。

d. 市内全小中学校・特別支援学校で給食後などに歯磨きの時間を設けるとともにフッ化物洗口(週1回)に取り組んでください。

e. 外国人の保護者や児童・生徒に対し、子ども医療証や学校医療券の仕組み・使用方法がわかるように、外国語に翻訳した案内を作成し周知してください。とりわけコミュニケーションや文章の理解に困難のある保護者へ対応するため、諸制度に通じた通訳を配置してください。

③成人期・妊婦等への歯科健診

a.妊娠ステージの変化にあわせ口腔内の変化が見られるため、妊婦歯科健康診査の無料実施を、何度でも近くの医療機関で個別健診として受けられる、受診券の配布など、受診しやすい制度に改善してください。

b.歯周病検診は、満18歳以上のすべての市民と満15歳以上の障がいのある人を対象に年1回、無料で実施してください。また検診内容は、現在の問診・口腔内検査だけでなく、市民が受診したくなる内容へ拡充してください。

④高齢者・要介護者等における歯科医療提供体制の整備、口腔機能の保持
市の独自施策として、要介護度・要支援度が決まれば要介護者・要支援者には必ず歯科健診を実施してください。また、歯科受診を促す啓発パンフレットやチラシなどを作成し、要介護者・要支援者へ渡してください。

⑤障がい者(児)歯科における医療提供体制の整備

a.障がい者(児)歯科医療に対応する一次医療機関を増やしてください。当該医療機関を対象とする財政支援策および高次歯科医療機関との相互連携を支援してください。

b.障がい者(児)が身近な地域で安心して健診や治療を受けられるよう、一次医療圏に所在する障がい者歯科診療施設を案内するリーフレットなどを作成してください。

c.中小事業所や共同作業所などで就労する障がい者を対象に、歯科健診の機会を増やすなどの口腔保健事業を推進し、障がい者の口腔衛生の向上を図ってください。

 市内歯科診療所に対して、障がい者(児)への歯科保健医療サービスの提供状況を調査し、「東京都医療機関案内サービス ひまわり」のように、市民に対し障がい者の歯科診療に対応する医療機関を案内してください。

(7) 無料低額診療について

① 経済的な困窮から重症化してから受診する方がおられます。就学援助世帯への無料低額診療の案内や国民健康保険窓口等、経済的困窮と関わる窓口で、無料低額診療の案内を行うことを求めます。

② 医療で無料低額診療を行っても診療保健調剤薬局での負担が減免する方法がなく、無料低額診療利用者が処方薬の受け取りで困窮しています。全国的には青森市や高知市、那覇市などで「無料低額診療事業利用者への調剤費助成」が行われています。大阪市においても同様の制度を検討することを求めます。

(8) 在留資格のない外国人医療について

 大阪市において在留資格のない入国管理局からの被仮放免者、および国民健康保険に加入できない外国人の疾病や外傷に対する治療が受けられない事案が恒常的に発生しています。健康保険がなく高額な医療費が負担されない状況は、生命に危険が及ぶ状態と診断されながら医療機関での受け入れを断られる事態を生んでいます。これらの方々からの相談は、無料低額診療を行っている医療機関に集中している現状があります。「救命」「人道的な観点」から、診療に応じた場合、高額な医療費をすべて無料低額診療機関が負担しなければならない実態があり、大阪市においても措置を講じていただきたいと考えます。同項目は昨年も「市政外」と判断されましたが本年も同様な判断をされるのであれば、その理由と、同要望について管轄とされるべき、行政機関・部署についてご教示・ご指導ください。

① 医療を必要とする仮放免者が、仮放免期間中に医療が受けられるよう健康保険に加入できる在留資格を出すように国に対して要望すること、在留資格が出せない場合においても、治療を必要とする場合は「被収容者処遇規則」第30条、第44条の適用対象を拡大し、地方出入国在留管理局長がその医療費を負担するよう大阪市から国に対し要望してください。

② 健康保険資格を得られない移住者・難民及びコロナ禍における帰国困難者の医療を保障するため全国の自治体で先例のある「外国人未払医療補填制度」について、大阪市において実施してください。また国に対して「外国人未払い医療補填制度」をどこに住んでいても、どの医療機関にかかっても対応できるよう、国全体の制度として実施するよう求めてください

③ 市立医療機関は、公立医療機関として、保険資格を得られない移民難民及び、帰国困難者に対する医療の受け皿になってください

④ 無料低額診療事業を行う医療機関が、高額な治療費を要する無保険者を受け入れたときは医療費の保険負担相当分を補填する仕組みを作ってください。

⑤ 日本語を母国語としない人が適切な医療を受けられ、医療費や生活の相談ができるようにするために、欧米諸国同様の公的医療通訳制度を整えてください。

(9) 物価高騰により負担が大きくなっている医療機関に対し、大阪市独自の財政支援をおこなってください。

(10) 国は高額療養費の月間上限引き上げを段階的に行う方針です。厚生労働省は「現役世代の保険料負担軽減」を言いますが、この高額療養費の改定に対しては日本弁護士連合会も「人権保障の観点から高額療養費制度の改定案の抜本的見直しを求める会長声明」において人権侵害の可能性を指摘しています。
 大阪市民の治療を受ける選択肢を狭めないために、高額療養費の自己負担上限額を引き上げないよう国に対し要望することを求めると同時に大阪市独自の療養給付の検討など、高額な医療が必要になった方への独自施策を求めます。
 以下 日弁連「人権保障の観点から高額療養費制度の改定案の抜本的見直しを求める会長声明」➡https://www.nichibenren.or.jp/document/statement/year/2026/260326_4.html